こんにちは。
日々赤ちゃんのお世話に奮闘する全ての人を出汁の呪縛から救いたい!
食育インストラクターふるやまちこです。
(普段とは若干異なるテンションでお送りしております。)
初めての赤ちゃん、初めてのことばかりで不安なお母さんお父さんが「這えば立て、立てば歩けの親心」で日々お過ごしのこととお察し致します。
そんな我が子が生まれて5〜6ヶ月が過ぎた頃、いよいよ始まる離乳食。
和食がユネスコ世界文化遺産に登録され、お役所の離乳食講座では栄養士さんが「素材の味を活かして出汁を効かせた離乳食を」と言い、巷に溢れる離乳食レシピを調べれば「出汁でゆでる」「出汁でのばす」「出汁で…」「出汁で…」「出汁で…」「出汁…」
ダシダシダシダシうるさいわー!(心の声)
と思っている方、1人や2人ではないと思います。えぇ、私もそうでした。
確かにね、出汁は美味しいです。
旨味の出た汁ですから。美味しいです。
でもね、赤ちゃんの離乳食に必要なのは「素材の味」を教えることで「高級料亭の味」を教えることではありません。
「出汁」と聞くと「鰹節と昆布で取るんでしょ?」と思い込んでいる人のなんと多いことか…!
鰹節と昆布の合わせ出汁なんて、高級料亭のお椀に使うものであって、普通の家庭料理で毎食必要なものではありません。
(それが出来る方やしたい方を否定はしません。幼い頃から高級料亭の味でずっと育てたい方だっておられると思いますので)
家庭料理では、先程も申し上げました通り、出汁と言うのは「旨味の出た汁」と言う解釈で良いのです。
旨味は、鰹節や昆布や煮干し以外の食材からも出るのです。
例えば、野菜を茹でた茹で汁には野菜の旨味が出ているので「野菜出汁」として使えます。(ほうれん草など、えぐみの強い野菜の茹で汁は出汁として使えないこともあります。)
一時期流行った「ベジブロス」ですね。
鶏肉を茹でた茹で汁には鶏肉の旨味が出ているので「鶏出汁」として使えます。言い方を変えれば「チキンブイヨン」です。
(※参考)
【食育コラム】おでんに出汁はいりません!食材の組合せで簡単美味しく召し上がれ♪ - 食育教室 おやこキッチン
そう、もうおわかりですね。
鰹節や昆布以外の食材にも、多かれ少なかれ旨味は含まれているのです。
ですから「素材の味を活かして」と言うのは「鰹節と昆布の出汁」ではなく食材そのものの旨味をそのものの味として教えてあげることなのです。
もちろん、鰹節の旨味だって鰹節の味ですから鰹出汁や昆布出汁を教えてあげることも良いと思います。
ちなみに、野菜で1番旨味が多いのはトマトです。
トマトとオリーブオイルとガーリックだけのシンプルなパスタが美味しいのは、トマトに旨味がたっぷり含まれているからなんですね。
そうやって、せっかく素材の味を活かした(鰹と昆布の出汁を使った)離乳食を食べさせて頑張って来たのに、幼児食や普通食に移行する頃には毎日の出汁取りに疲弊して、化学調味料たっぷりの顆粒だしの素へ還って行く人の何と多いことか…
(すみません、言い過ぎました。)
鰹と昆布の合わせ出汁は、日本食文化が誇る素晴らしいもので、子々孫々伝えるべきものです。
でもそれは、毎日毎食の普段の食事に本当に必要でしょうか?
「晴れと褻(ハレとケ)」と言う言葉をご存知でしょうか?
TPOを日本流に表した言葉です。
日本人は昔からお祝いなどの特別なことと、普段の生活を明確に区別することで日々の暮らしにメリハリをつけて来ました。
食事にもハレとケがあり、鰹と昆布の合わせ出汁を使うのは「ハレ」のお料理。
離乳食や幼児食だけを毎食ハレの食事にする必要は無いと思いませんか?
ケ(普段)の食事には、ケのお料理で良いのです。
(※参考)
毎日がごちそうじゃなくていい!野菜1品でムリせず美味しいご飯のススメ | Conobie[コノビー]
まずは、野菜にも、魚にも、お肉にも、食べ物には多かれ少なかれ、旨味があると知ること。
それを伝えることから始めてみませんか?
出汁を効かせるのは、それからでも遅くはありませんよ。